見知らぬ土地へゆくと、まず地元の市場、図書館、博物館を訪ねる。市場の人いきれで概ね街の活気が知れるし、うまいものもわかる。図書館、博物館ならばその土地の歴史をかいま見ることもできる。
取材で先月末、沖縄・石垣島へ行って来た。初めての土地で、例によって地元探索「3点セット」を回ってみた。市場でマグロ、タコの刺身(これが実にうまい、安い)、かまぼこ(1個70円だった)を立ち食いし、図書館でガイドブックに目を通し、博物館で遺跡を見物した。
小さな郷土博物館で、訪ねたのは私ひとり。館員もひとりだけで、白髪の、年の頃なら70代といったところだろうか。いかにも博物館員という風貌で、背が低く、髪は大きく乱れ、容姿には関心がなさそうである。円形の土器のようなものを虫眼鏡でのぞき込み、いかにも研究中という風情だ。
いくつかの発掘された遺跡を眺めていたら、こんな記述にぶつかった。
「仲間第一貝塚は、石垣島の仲間川の北側河口近くにあり 、海抜約4mの砂丘上に形成されている。石斧・叩き石・磨石などの石器が出土し、土器が一片も見つかっていないことから、無土器遺跡ということで新石器時代の無土器貝塚と判明した」
目を引いたのは「仲間」という地名である。仲間、といえばタレントの仲間由紀恵。つまらない発想をしたものだ。とはいえ彼女は沖縄出身だよなぁ。なにか関係があるのではと、くだんの館員氏にお尋ねした。声をかけると一瞬「ギョェ!」という表情を浮かべ、なんだか狼狽している。見るからに研究者っぽいし、人擦れしていないんだよなぁ。
「仲間って、あのタレントと関係があるんですか?」
「仲間という地域がありまして。正確には『中間』と書くのですが」
そう言えば福岡に中間市というのがあった。関係ないのかな。それにしても石垣島から福岡まではいかにも遠いし、日本人南方説はそれなりの説得力もあるけど、どんなもんだろうか。
「中間(なかま)という支配者がありまして、上間、中間、下間と3つに分かれていたそうです。この地名を取ったのですが、その時、支配者に遠慮して中間には人偏(にんべん=仲間)をつけたそうです」(多分そんなことを言ったような気がするが。違っていたらごめんなさい)と館員氏。
「ふーん。じゃあ仲間由紀恵とも関係ありそうですね」と言ったら
「ええ、あの地域は美人が多く出る土地として有名でして」
研究者然とした館員氏、破顔一笑。なんだ「石部金吉」(女に迷わないような人、という意味だよね)かと思ったら、なかなか楽しいじゃん、石垣島。
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