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キャメルンからの手紙・連載(バックナンバー)

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キャメルンからの手紙

キャメルンからの手紙バックナンバー(アーカイブ)です。

キャメルンからの手紙バックナンバー(アーカイブ)

◆キャメルンからの手紙◆第29話「ろぽんちゃんの、夕ごはん」

文章:空羽(くう)ファティマ 絵:NILE(ないる)

 

 

 〝レッサーパンダのろぽんちゃんは夕ごはんのごはんがある森へ行きました。ろぽんちゃんは「おいしい、おいしい」と言ってささの葉をどんどん食べました。どんどん食べていたら、ろぽんちゃんはねむくなっていたけれど、ささの葉がおいしかったから目をつぶりながら食べていました。その後ろぽんちゃんは口をもぐもぐさせながらぐっすりねむっていました。そしてろぽんちゃんは目をさましました。目をさましたらすぐにささの葉をつんで家に帰って、またもぐもぐ食べました。夜ごはんもささの葉はたいりょうにして食ました。次の日も次の日もろぽんちゃんは森へ行きささの葉をつんでいつまでも食べていました。それなのにろぽんちゃんはいつも「おいしい、おいしい、世界一おいしい」といつまでも言っていたのでした"…(原文のまま)

 

 これは9歳の娘が書いたお話です。ストーリーといったストーリー展開は全くなく愛犬ポロンを逆さにした名をつけた「ろぽんちゃんの夕ごはん」の事しか書いていない、なんともシンプルなお話である。でも私はこのお話をかわいいと思ったし、最後の「おいしい、おいしい、世界一おいしい」というところで、くすっと心がやわらかくなった。だってこういう文は大人は絶対に書かない。というか書けない。もう少し文を飾りたくなってしまう。起承転結を考えてしまう。オチも欲しくなる。でも子供の文ってそういう狙いが全くない。これってスゴイと思う。ピカソは4歳の時に大人と同様の絵を描けたが、80歳になって4歳の絵を書くことは出来なかった、と言っいる。ストーリー性のある文を書けることはもちろん素晴らしい事だしそれが文学なのだろうけれど、こういう子供が書く文をかわいいなって思える気持とか、時にはそういうテイストのものを取り入れられる大人の作家で在りたいと思う。子供には子供にしか創れない、味や豊かさやセンスがあり、大人は経験で学んできた大人にしか生み出せない作品がある。それはどちらもとても素晴らしい価値あるものだ。

 

 ピカソや荒井良二はそのふたつを表現しようとしていると思う。私は子供の絵の素朴さがかわいくて、娘の描いた絵はどんな小さなものでも大切にとってある。その年齢にしかかけない宝物だからだ。子育てに必要なのは子供のユニークさとか、そのつたなさをいかにゆとりを持って楽しめ味わえるかだと思う。出来ないという事をイラッとするか、おもしろいと感じるかの違いは大きい。もちろん私もいつもそんなゆとりのあるママではいられない。カッときて必要以上に怒りすぎ後であやまる…、その繰り返し。でもそれでいいのだと思う。親の権力をふりかざし突っ走らないで立ち止まりあやまれることができれば。きのうもお風呂の中で娘がおっぱい吸いたーいと甘えて赤ちゃんの頃の話をしながら抱っこして吸わせた。そういうリセットタイムを持てて子供の作品や文や絵の中に光を見られるママであるならいいと思う。100点ママを目指すと疲れるからね。50点でいーんじゃない?!

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◆キャメルンからの手紙◆第28話「最後のPTA通信 “卒業生に送る言葉” 」

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

 …本日は御卒業おめでとうございます。コドモと呼ばれるのは小学6年生迄で、中学生になったら立派な大人の仲間入りですね。これから楽しい事もたくさんあるかわりに、悩んだり迷ったりする事も多くなると思います。何か行動する前には、必ず自分の〝心の声″を聞いて下さい。その声を聞き間違えないようになるには少し練習が必要ですが、心が何を求めているかを真剣に知りたいと思っていれば、必ず出来るようになります。それがただのわがままか本当にするべき事かを見分ける方法は、〝堂々と出来ているか″〝後ろめたくないか?″と自分に聞いてみる事です。そして堂々と「これが私のやりたい事です!」と言える事なら、周りの人がどんなに反対しても、あなただけは自分の味方になり応援し続けて下さい。「漫画家になりたい」とか「サッカー選手になる」とかなんでもいいのです。大人は心配していろいろと言ったりするかもしれません。でもあなたが本当に自分の好きな事をやって努力したというその月日は、たとえ失敗に終わったとしても大きな人生においての学びになります。ムダな経験なんて1つもないのです…。

 

 福岡のある高校では、〝命の授業″として1人にひとつのニワトリの受精卵が渡され、自分のニワトリとして愛着を持ち、名前まで(ジョンとか)つけて大切に育てます。そして3ヶ月後…、かわいがってきたその命を自らの手で解体しお肉にして、その場でみんなで食べるそうです。大抵の生徒はあまりの辛さに涙しながらも、命と引き換えに自分達の食物となってくれた事に感謝し〝命をいただく″という重さを学ぶといいます。けれども中には、「ずっと可愛がってきたニワトリのジョンはただの食用の鳥ではなく、もう大切な友達だからどうしても殺したくないっ!」と思う生徒もいるのでは?と思った。私だったらどんなに先生に怒られても、友達に「ぬけがけだ」と責められても「みんなも辛いのにやったのだから!」と説得されても、絶対に殺さず家に連れて帰ったからだ。命についての授業なら「殺さない」という生かす命の選択があってもいいと思ったし、もし、なかったのならば、自分で作ればいいと思った。

 

 どんな時も自分の信じる事を貫いて下さい。周りに流されないでください。自分の心の命じるまま、自らの命の光を輝かせる大人になること…それこそが本当の意味での〝命を大切にすること″だと思います。そして、もし、みなさんのお子さんがニワトリの○○ちゃんを家に持ち帰ってきたら、一緒に鳥小屋を作るパパやママでいてあげてほしいのです。しからずに受け入れてあげてほしいのです。その勇気をほめてあげてほしいのです。どんな時も子供を信じ、守る最後のトリデになって下さい。それがイザという時に命を守るストッパーになると信じています。

 

 1人の命を守り育ててくるのは…今迄大変な大変なご苦労があったことでしょう。こんなに大きくこんなに立派にみんなを育ててくれたお家の人の為にもどうかみなさんは命を大切にして、たとえどんなに辛い事がこの先あったとしても、生きて、生きて、生きて下さい。3.11の後に私がPTA会長をお受けしたのは、命の大切さを伝えたかったからでした。

 

 だから今日は会長の最後のあいさつとしてPTAのスローガンにもしたこの言葉を皆さんへのお祝いの言葉とします。

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◆キャメルンからの手紙◆第27話「PTA 会長奮闘記」

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

 3 月で娘のPTA 会長の任期が終わる。

今迄何の役員もやったことのない私だったが、子供の自殺が増え津波で、たくさんの命を失った今この時代だからこそ、私にできる精一杯の事をしなくてはと思い、依頼を受けることにして1年間経った。初めに計画した目標は、 ①子供たち一人ひとりに絵を描いてもらい、東北の子供たちへのチャリティ絵本の制作 ②体のあたたかさを直に手で感じ、心と体が1つだということを自分の手で知るためのマッサージ講習会 ③毎月私の想いを伝えるPTA 会長通信を手書きで書く ④プールの消毒槽の廃止、だった。

どれをどうやったらいいか全くわからない手探りだったが、一つ一つ真剣に取り組んでいるうちに協力者も増え、校長と教頭の理解も得る事が出来て目標は全て実現できた。学校という固く変化を嫌う体制の中で、しかもまるで会長っぽくない私は、学校側と意見が合わず途中でクビになる覚悟で意見を上げてきたが、成せば成るものなのだなあ、と知った。

 

役員になるママというのは、大抵はクジ引きで負けてしまった人が仕方なくなることが多いが、やるからには楽しんでしっかり自分の意見を言ってやると、今まで知らなかった学校の中側も知ることができるし自信にもなると思う。

そして子供のためにも忙しい中、役員の仕事を頑張るママを見て、子供たちは自分達が、いかに大切にされている存在だと知る機会にもなると思う。

子供の為だと思うとママは頑張れるものだ。

 

先日も給食の献立表に魚の産地をメニューと一緒に書いてくれたら、放射線物質を心配するママは「今日はアラスカ産のサケだから安心して食べてね」と子供たちに言えると思って調理場に電話したら、全ての食材を前橋市は1つ1つ、コショウに至るまで放射線量を計っていて、それは一般的に100ベクレルで赤ちゃんの50ベクレル以上に厳しい10ベクレルの数値を設けて測定していると聞き安心した。

今迄給食は全ての食材をまとめてミキサーにかけて計っているだけと聞いていた。

でも1学期ごとに全ての測定を個別にしているという。

何でも自分の耳で直に聞いてみるものだと改めて思った。

 

今の不透明な時代だからこそ、情報は自分の耳と手で得なくてはならないと思った。子供を守るのはこの自分の手なのだ。

学校や国にそれを求める前にへその緒で結ばれたママ自身が行動しよう。

学校の役員もただの義務と考えるより、いかにあなたが大事な存在かを伝える手段にしてほしい。

世の中のママはものすごくがんばっているのに、それを人に伝える事があまり上手くない、というのがもったいないと思う。アピールしよう。声に出そう。心配な事は心配だといい、こうしたらいいと思う事はそれを言葉にしよう。

 

私だって別に立派な強いママなんかじゃない。いいママと言えない事もたくさんしている。だけど一生懸命なママでありたいと思っている。

娘の応援団としてなりふり構わず応援の旗を「フレーフレー!」とふるママでありたいと思っている。一緒にがんばろー!!

 

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◆キャメルンからの手紙◆第26話「いい人生だった」と言う為に・2

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

 私は人生では「ノリのいい人」が得をすると信じている。

「コレおもしろそうだな」と思った時に人は2通りの動きをする。「おもしろそうだからやってみよッと!」と思えるノリのいい人と、「おもしろそうだけどお金がかかるし」とか「面倒くさいし」とか、「忙しいし」とか、やらない為の言い訳を書き出したらキリがないし、その理屈はやらない為の言い訳という姿を隠して、もっともらしい「やらない方がいい」という力にさえなり、その人を止める。

人間にとって「忙しさ」と「お金」は何かをやらない大きな壁になりうる。でもそこに逃げ込む人は、新しい事に向かう情熱が欠けているのだ。そりゃ、はじめのうちは失敗もするし、慣れないからスムーズに事が運ばなかったりする。だけど私達はそうやって、未知の世界に足を踏み込みながらずっと生きている。この世に出るとき、おなかの中から外の世界に出てきた変化に比べたら結婚も離婚も、小さな変化で、そういう1つ1つの変化を私達は、経験として生きてきている。そこには驚きと感動があったはずだ。

 

言い訳をせず行動に移す人の頭には「やってみよッと!」の7文字しかない。子供みたいに純粋に見知らぬ世界へ飛び込んでいく。多少の苦労はあっても新しき世界がどんなにワクワクした喜びを自分に与えてくれるかを、彼らは何回ものトライの中で知っているのだ。そして人生はこれがなくてはいかにつまらないものになってしまうかという事も。

そう、人生は冒険だ。小さな冒険からものすごい気合のいる冒険もあるが、どんな冒険もその人にとって大切な1ページやになる。それを手に入れるのに、必要な初めの勇気をしぶっていると、安全だけ手に入れた無味乾燥した日々しかやってこなくなる。しかもどんなに安全だと思って守りに入っていても、家の中にいても地震も津波もおこるし、外に出たら事故にもあう。本当は生きている限りどこにも安全な場所なんてありはしないのだ。

 

だから、新たな年を迎えたあなたが、もし、いつも守りに入ってばかりいて言い訳達人になっている人だとしたら、、何かワクワクすることをしてはいかがでしょう?人生なんてこんなもの、とあきらめていた、いつもと違う自分になるために、ちょっと自分で背中を押してみませんか?ほんの、小さな冒険で、いいのです。すごい大きなことをしなくてもいいのです。節約している日々の中、たまにはゆっくり、1人ランチに行っちゃうとか。。主婦にとってそういう小さな事も大きなドキドキになり、家族にも優しくなれたりするものです。

 

そうやって自分にごほうびやワクワク感をあげないと、その人の心はひからびてしまい、回りの人にも優しくできなくなってしまいます。何もしなくても時は過ぎてゆき、人間の短い人生は幕を閉じる時がやってきます。そして、その時また、人は2通りの死に方をするのです。「おもしろかったなぁ、私の人生」と笑って逝ける人と「もっと何かすれば良かったなぁ。」と悔いながら逝く人。。。人生の最後の日に、「いい人生だった」と言えるために、今日一日を悔いのないように生きる事が、せっかくこの世に生まれてきた、自分への何よりのプレゼントだと思っている私は、、もう半世紀生きてきた私は、、その一言を言いたいために、力の全てをかけて、今を必死に生きている気がします。

 

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◆キャメルンからの手紙◆第25話「新しき年に祈りを込めて」

文章:空羽(くう)ファティマ イラスト:ナイル

 

2013年が始まった。今年もよろしくお付き合いください。

 

今月末に出版する「ナイルとちびっこクジラ 本物のクジラに会いに行く…悲しみのない島へ」は、ラクダのキャメルンシリーズの9冊目になる本で、いつもは大人向きだがこの本は子供向けに作った東北チャリティー支援の為の本だ。
絵は1ページずつ別の子供達の心の籠ったかわいい絵で、本の収益金は親を亡くした子供達に全額送る。

 

子供達を本作りに参加させたのは、小さな子供でも人の役に立てるという体験をさせたかった事と、あの大災害で親を失いながらも必死に前を向き生きている東北の子供たちにエールを送りたいと思いこの企画を立てた。

 

娘のPTA会長を引き受けた1番の理由はこのチャリティ支援を実現したかったと言ってもいい。ただの責任感や義務感だけで行動するのではなく、子供達自身も楽しみながら、自分の書いた絵本が本屋に並ぶ事をワクワクしながら、同時につらい境遇にある子供達に手を差し伸べる優しさも育ててほしいと願ったからだ。そいうことが出来る自分を自信にしてほしかった。自分の絵が本に載ることと、チャリティー企画に参加出来る誇りにしてほしかった。それが本当のボランティア精神だと学んでほしかった。

 

私の著書には朗読CDをつけているが、そのCDの朗読の最後には本のストーリーに合ったオリジナルの歌が入っている。
今回はもう一曲付け加えた。「パパとママの星」。被災地で親を亡くした子供達を想って作った歌だ。

 

♪゙大好きなパパ、大好きなママはお空に行ってもいつも見てるよ。いつもそばにいるよ。ずっと想っているよ。でもどうしてもさみしい夜は…ママと笑った数、パパとお風呂に入った数、お星様を数えて。ずっと消えないパパとママのお星様があなたの心の中に光っている…″

 

愛する我が子を残して亡くなっていった辛すぎるその両親達の気持ちを想うと、歌いながらのどがつまった。今このコラムを書いていても泣けてくる。だからせめてチャリティ朗読会やこういうチャリティ本を出版していきたい。
本は、ウニクスのブックマンズアカデミーやケヤキの紀ノ国屋やアマゾンなどで扱っています。本の収益金は全て寄付しますので大人が読んでもかわいい本ですからぜひお手にとって頂けたらと思います。

 

私がこの地球にきて半世紀がたちましたが、その人生の中で私の価値感を根底からくつがえした事が2つありました。
1つは20代で暮らしたサハラ砂漠の日々。そして2つ目があの3.11でした。生きている、生かされている事の奇跡、当たり前の事なんて何1つなかった事を大きすぎる犠牲の末に知りました。教えていただきました。あのTVで見た現実のものとは思えない映像はこれから先も私の中から消える事はないでしょう。

 

新しい年、全ての人々が少しでも明るい方へ、明るい方へと歩み始める年になります事を心から祈り、新年初めの「キャメルンからの手紙」にさせて頂きます。合掌。ファティマ

▲本の表紙の絵

 

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