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キャメルンからの手紙・連載(バックナンバー)

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キャメルンからの手紙

キャメルンからの手紙バックナンバー(アーカイブ)です。

キャメルンからの手紙バックナンバー(アーカイブ)

◆キャメルンからの手紙◆第34話「幸せは日々の中に の巻」

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン 

 

 長野で人気NO.1のタクシーは中央タクシーといって、道路を走っているそのタクシーを見るだけでも人々が幸せな気分になるという。人気の秘密は、こうしてくれたらいいな、と思う事をさりげなくやってくれることらしい。

 

たとえば、重い荷物を持ってくれるとか、どんなに短い距離でも決して嫌な顔をしないとか。ちょっとした事に思える事もなかなかしてくれないものだから。その話を床屋をしている彼(世に言う主人)にすると、「俺もこの間お守りを忘れていった大学生のお客さんのアパートの住所を、はっきりわからなかったけれどこの辺りだろうと見当はついていたから届けてきた」と言う。「そんないいことしてたんだあ。早く教えてよ」と言うと。「わざわざ教えるほどの事じゃないし」と言われた。ぶっきらぼうにみえるけど、実はハートは優しい奴なのだ。

 

そんなにたいしたことじゃない、と思ったのだろうけど、その中央タクシーの会社の壁には自分が体験したちょっとイイ話を仲間の運転手にも知らせる為の伝言版がある。言わなかったらその人だけの胸をあたたかくするイイ話を、他のドライバーにも読んでもらう事でその日1日優しい気持ちで接客出来るように、との社長の考えたものだという。

 

日本人は謙虚な人が多い。自分のした事はあまり自慢をせず、人のしたことを褒める人が良いとされている。だから自分がしたイイ事はほとんどの人は他の人に話さないのだろう。でも誰がした事もイイ話はイイ話なのだ。

 

それは回りの人の心をほわっとさせ、幸せな気持ちにさせてくれる。異常気象や悲しい事件が続く2013年だからこそ、ちょっとしたイイ話も自分だけの胸に止めずに人にシェアしたい。私は自分が「すっごい〜!」と思ったことは嬉しくなってすぐ人に言っちゃう。

 

先日、信号待ちで止まっていたらゴツンと車をぶつけられた。生まれて初めての事故だった。「調書に拇印を押してください」と言われ、親指に黒いインクを付けて押し、ティッシュで拭こうとしたら、「指を擦り合わせて下さい」と言われたからやってみると、あっと言う間にインクが消えた!「わぁ!! 手品みたいですね!!」と私はいたく感動した。褒められたおまわりさんさんも気を良くしたのか、「すごいでしょ?!」とニコニコし、固いはずの現場があたたかい雰囲気になった。加害者の方もきちんと謝ってくださり、良い人だったので、心配して駆け付けた彼は「あまり気を落とさないでください」と缶コーヒーを買って渡していた。

 

…生きているといろんな事が起こる。でもお互いがいたわり合ったりイイ話は人に伝えようとしたりする事で、世の中は少しでも明るくなると私は信じている。

 

この世を楽しく幸せにしてくれるのは神様や政治家でなく、日々を生きる私たちがどう1日を過ごすかだと思う。ありがとうの気持ちを忘れず感動したら喜び、悪い事をしたら謝る。そんなシンプルなことこそが実は幸せへの第1歩なのだと思います。


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◆キャメルンからの手紙◆第33話「立派なママより正直なママ の巻」

文章:空羽(くう)ファティマ イラスト:NILE 

 

 

 

 

 

 正しい育児書にはたいていこう書いてある。「否定的な言葉を使うのではなく、褒めて育てましょう」「どんなに怒っても叩いてはいけません」「子どもの前で夫婦ゲンカは避けましょう」「子どもにとって尊敬できる親でいましょう」などなど…。それは確かにたぶん正しい。ストレスをためずにこんな立派な親になれるなら素晴らしい。でも親も人間だ。この世へは修行で来ている。怒りたくなるし、疲れていたらイラつきもする。だから私は無理して良い親を演じるより、そのフォローが出来る親、「ごめんね」を子どもに対して言える親でいればいいと思う。だってすごく怒ったら否定的な言葉も使いたくなる。「〜すれば〜になれますよ」と言えば良いとわかっていても、あまりに怒っている時は「〜しないと〜してあげないから!」と脅したくもなる。お尻くらいは叩きたくなる時だってある。子どもの前でだって夫に我慢できなくて怒る時もある。そりゃ、あるだろうよ、そういう時だって。私達はみな不完全な人間なんだからさ。私だってある。そして後で反省する時もある。だからその時は謝ればいいのだ。たいした悪い事もしていない子どもに、ついつい疲れてイラついて怒りすぎた時は、「さっきはごめんね。あんなに怒らなくてもよかったよね。疲れていてつい怒ってしまったけど○○ちゃんの事を嫌いなわけじゃなく大好きだからね」とあやまろう。小さい子どもだからといってごまかすのではなくきちんと頭を下げよう。子どもはとても優しいから「イーヨ、イーヨ」と許してくれるはず。無理にいいママを演じようとするとストレスがたまってもっとイライラして結局はもっと子どもにあたってしまう。「あなたのためにママはこんなにがんばっているのに、なぜわかってくれないのよっ!」って恩着せがましくなってしまう。いいのだ。弱さもダメさもさらけだせばいいのだ。それも子どもの学びになる。「大人もこんな失敗するのかぁ」って。「そしてそのあとこうやってちゃんとあやまればいいのだな」って知るだろう。
子どもに必要なのは完璧な良い親ではなく、失敗しても正直でいてくれる親なのではないだろうか。親って言ったって結局は子どもより旧式の人間で、生物の進化論を考えれば子どもの方が親より優れた進化形なのだから。そしてなるべく怒る時はなぜ怒ったかを出来るだけ正確に説明しよう。あなたがキライで怒ったのではない事はきちんと伝えることが大切だ。それを誤解している子どもは多いからね。「あなたが楽しくお友達と遊べるようにママはスイカやお菓子をあげたりいろいろしたけど、あなたはママと約束した事を守らなかったから、ママは怒ったの。悲しくなったの。ママも出来るだけ優しいママでいたいから、あなたも約束したことはきちんと守って楽しく過ごせる様に協力してくれたらママもうれしいし、あなたもうれしいとおもうんだけど、どう思う?ママの言っている事を違うと思うなら、あなたの意見を言っていいよ」とね。

 育児は育自、という言葉をかみしめながらペンを持つママより。


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◆キャメルンからの手紙◆第32話「10代の君たちへ の巻」

題字・文章:空羽(くう)ファティマ

 

 

 

 

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◆キャメルンからの手紙◆第31話「かわいい子には旅をさせろ の巻」

文章:空羽(くう)ファティマ イラスト:NILE 

 

 

 娘(9)の友達2人がお泊りに来た次の日、子供だけのボーケンの旅に出発した。行き先は2駅+バスの今が見頃の渋川あじさい公園。お弁当、水筒、帽子、ハンカチなど3人分用意してリュックに詰めて「大事な体だからね」と日焼け止めを塗る。着いた連絡とSOS用にママのケイタイを貸した。お金は贅沢しすぎない金額。でも予備のお金はお守りにとリュックの底に。責任感を持たせる為におさいふ係、ケイタイを持つ子、熱中症予防の塩をみんなのお口に入れる子と係を決める。駅までは車で送り、切符の買い方を教えようとして間違えて大人の切符を買ってしまった。トホホ…。「いい?2つ目の駅で降りるのよ。水筒のルイボスティがなくなったら、小銭を入れておくから自販で飲み物を買って。何かすごーく困ったら電話していいけど、まずは3人で考えてやってみて。駅に着いたらどのバスに乗るか駅員さんに聞いて。帰りのバスは反対側だから気をつけて道を渡ってね。人に聞く時は、男の人より優しそうな女の人の方がいいかも。誰かが車に乗せてあげるとか、仔犬を見せてあげるから家においでと言われても断ってね。しつこくされたらリュックの笛を吹くか『助けてー!』って叫んで逃げて。でもあいさつやお礼はきちんとしてね。それから…、それから…、あ!電車来ちゃった!楽しんで気をつけていってらっしゃーい!」と小さくなっていくオレンジ色の電車を見送った。

このシーンには覚えがある。そう、私の作った絵本「ナイルとちびっこくじら 本物のくじらに会いに行く」の中で魔女のママが冒険の旅にホウキに乗って小さくなっていく娘を胸きゅんしながら手を振る場面と同じだ。先月、中1のイトコと行き先を決めない電車の旅をさせたけれど、小学生だけの旅は初めてだった。でも安全に対する意識は小さい頃から教えてきたからね。元気で帰ってきた笑顔の中にはまた1つ自信という生きていく力があると信じて。その力はママが与えられるものではなく、自分の手でつかむしかないものだから。《親は子供をただ、その胸にかかえ守っていただけではいけない。自分の足でしっかり立てる力を持たせる為の応援をすることが親のすべき事だ。だから子供が冒険に行ける準備を小さい時からしよう。あなたの命は宝物という事を…、あなたが生まれてきてくれて本当にうれしいという事を…、きちんと言葉にして伝えよう。それを知った子供は決して自らの体と心を粗末にはしない! 自分も人も守れる子に育ち、冒険をする力を持つだろう》と私はその本に書いた。そうなのだ。いつまでも親が全てを守ってあげられるわけではないのだから。自分の書いたその言葉を本の中の魔女のママ、エンドラカラと共にぎゅっと胸に抱きしめながらホームを後にした私は、一人車に戻りアクセルを踏んだ。

 育は育。ママもしっかりしなくちゃね。魔女も人間もママ業は楽しく、そして胸キュンだ。

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◆キャメルンからの手紙◆第30話「40年前の涙」

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン 

 

 あれは確か私が8才か9才の頃。理由は忘れたが母に怒られ泣きながら眠りにつくと頬に何かがポトンと落ちた。涙だった。「こんな小さな子に。ごめんね…」と謝りながら私の髪をなで母は泣いていた。私はすごく動揺した。見てはいけないものを見てしまった気がして必死に寝たふりをした。きっと母は、知られたくないと思ったから。大人が泣くなんて大変な事に違いなくそんなひどい事を自分は、母にしてしまったのかと悲しくなった。ママごめんなさい、と心の中で何回も詫びた。

 

 この事は40年たった今も記憶にあった。そんなある日、昔からの友人Aが母から聞いた話をしてくれた。母はAに言った。「あの子には、かわいそうな事をしちゃったと悔いている事があってね、2人の兄弟には、抱きしめておやすみを言ったけど、その日あまりにも彼女に腹を立てていた私は彼女にだけ、ギュウしなかったの。そしたら、その寝顔には涙の跡がたくさんあって…。本当にかわいそうな事をしたと今でも思うのよ…」 ああ、あの日の事だとすぐにわかった。あの涙の意味を私はやっと知った。

 

 たぶんAが私にこの話をすると知ってて母は話したのだろうな。そんなに長い間気になっていたなら、もっと早く私に言えばよかったのに、って思ったけど母の性格上それが出来なかったからこそつらかったのだろう。私も母もかわいそうだった。お互いに同じ出来事を40年もの間痛い思い出として持ち続け自分を責めていたなんて、切ないけど心にキュンとする話でもある。うん。親子だなあーってね。昔の私は母に自分をわかってほしくてすっごく噛みついたっけ。30枚も手紙を書いた事もあった。でも言い訳の嫌いな武士みたいな母はあの時も何も言わなかった。

 

 母なりに言いたいことはたくさんあっただろうに。

 

 きっと…このコラムを母も読むだろう。でも、次に会った時はまるで何もなかった様に「ちゃんとごはん食べてるの?」とか、「検診は行ったほうがいいわよ」とか、「N(孫)は元気なんでしょ?」とかフツーの顔して言うのだろうな。そして私も何もなかった様に「うん」と答える。…いいのだ。それでいいのだ。バカボンボン。私達はそういう親子なのだ。今迄も。そしてこれからも。

 

 いろんな親子がいて、それぞれにいろんな傷があり想いがあり、愛がある。その形は違うし表現も違って、それは時にもどかしく切なく虚しく、どうしようもない程こじれたりぶつかったりするけれど。それでもお互いを想う気持ちはきっとあり、奥の所ではわかり合ってるはずだから。その、おなかから出てきたからね。あやまらなくても後悔しなくてもいいのだ。意地張ったままでもケンカしたままでも、一緒に仲良く買い物にスズランなんて行かなくても。

 

 どの親子もそのままでいーのだ! と今なら言える。それはきっと私がママになったから。今、私は幸せで母も77才で元気だし。長生きして楽しくしててくれればそれが 一番嬉しいし。武士魂を通したままでいいからさ、100才まで生きてみてちょ。

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