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キャメルンからの手紙・連載(バックナンバー)

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キャメルンからの手紙

キャメルンからの手紙バックナンバー(アーカイブ)です。

キャメルンからの手紙バックナンバー(アーカイブ)

◆キャメルンからの手紙◆第49話

愛梨ちゃんの本

【「あなたをママと呼びたくて…天から舞い降りた命」メイキングストーリーの巻】

文章:空羽(くう)ファティマ 額: NILEとママ

 


はしもとランドコラム12月号でみなさんに募金をお願いした震災で亡くなった愛梨ちゃん(6)の絵本ですがおかげ様で2月末に出版が決まりました。みなさまの想いがいっぱいつまった一冊です。心よりお礼申し上げます。お礼とご報告をかねてそのメイキングストーリーをお話したいと思います。2014年9月にママの美香さんから娘の生きた証の絵本を作って欲しいと依頼を受けたその晩に本の大筋は一気に書き上げてから、好きだった食べ物とか細かい肉付けを毎日美香さんに電話して作りあげていきました。自分が書きたい事よりも愛梨ちゃんが天国から伝えたいメッセージを私の右手が受け取り言葉に出来るように祈りながら1つ1つの言葉をていねいに選びながら。絵は娘の通っている栗原造形教室の子供達に描いてもらい絵の回りの額はキャメルンスタッフが作り私は文章の空いたスペースにゆるい挿し絵を書き込んだ。はじめは色をぬる予定ではなかったがそこに色を入れてみたらかわいくなったので、そこからどんどんエスカレートしていった。みんなが作ってくれた額にも手を入れて文章と額と絵の額のバランスを取るように共通のビーズを1つ1つピンセットで貼り付けたりボタンやレース、マスキングテープ、フエルトなどどんどんコリに凝ってきた。そんなわけで提出日の1月5日までの大晦日と年始めの2週間は毎日朝方6時まで一心不乱に絵と文章の額44枚と22枚の文章を飾るものすごく細かい作業を66枚朝も昼も夜もとりつかれたように、ずーっとずううっとやり続けた。これだけがんばって集中したことは私の52年の生涯なかった。自分の為に書いた本ではなく、みんなの募金で作る本という感謝と責任、そして天国の愛梨ちゃんをすごく喜ばせたいという想いと何よりも同じ母としてこの3年半以上の年月を娘を失ったどん底の哀しみの中耐えてきたママの美香さんがこの本を読み、娘の生きた6年間を誇りに思えるような本にどうしてもどうしてもしたかった。愛梨の死がムダではなくこの本の中でずっと生き続けられるのだと思うことで少しでもその哀しみが軽くなる事を心から祈った。
美香さんが愛梨ちゃんに書いた手紙の回りには棺の中にお花をたくさん入れるように色とりどりのお花で囲ったり、死という悲しいテーマの本なので明るく飾られるページは、手に取った人が「わぁぁ♥」って叫ぶ位きれいな色のビーズやボタンで素敵にかわいく飾った。白いレースの上に白いビーズをのせたり見る人には気づかれなくても想いをのせたくて細部の細部までていねいに作り込んだ。最後の瞬間までお友達をはげまし続けた愛梨ちゃんの愛と勇気に対しての、この作業は私からの哀悼と尊敬を精一杯込めた1つの儀式の様でした。空が明るくなる迄の人々が寝静まっている真夜中の時間は天国とつながっている感じがしてシンと静かな神聖な時間の中で、「この本を描く為に私は生まれてきた」と誇りを持てる素敵な本が生まれました。

 

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◆キャメルンからの手紙◆第48話

【「自らの弱さを知ってはじめて人は強くなれる」の巻】

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

人に何を言われようと誰に止められてもあきらめてはいけないものがある。屈してはならない事がある。それが自分にとって本当に大切な守るべき事ならば子供だって親に牙をむき挑むべき時がある…反抗期に入った娘Nとフラのレッスン前に大ゲンカとなった。ふてくされヤケクソになったNは「お母さまとお父さまへ。どれいNより!!Nはママとパパのためにあつかわれます。自分の好きなことはいっさいしません。フラもやめます。造形教室もやめます。べんきょうだけします。ママとパパは休んでNはみんなの分の家事などをします。わがままはいいません。Nはママのすきかってにつかって下さい。すきかってをしていたNより」なんて笑える位に自虐的でやけくそな手紙を書いてよこした。自分の考えを大切にしてとか人にこびてはダメとか今迄さんざん教えてきた私に対してあえてこんな真逆の文面をよこすという事は「そんなこと言わないで。あなたの自由に生きていいのよ!」と私が熱くなるとねらったのだろうな。(実際後で聞いたらそうだった。"お母様"なんてはじめて聞いたし…。)が、ママはそんなに甘くはない!簡単に自分をこんなにおとしめる子なんてこりればいい!「だったらその通りにしなさい。ドレイになるなんて軽く言うけどアンクルトムの本、読んだでしょ?自由がないという事がどんなつらい事かわかってないからこんな自分を大切にしない事を書けるのよ!だったらドレイになりなさい。そんなに簡単にあんなに大好きなフラもやめられるならやめればいい!」ここで甘やかしてはダメだと私はつっぱねた。想像と違うママのリアクションにあせったNは手紙を奪い取り「習い事はやらせて下さい。今日のレッスンは休みます」と書き直してきた。「そんなにすぐに自分の言葉を取り消すんじゃない!もっと言葉に責任を持ちやめると言ったのだからやめればいい。」と私は言った。もちろんやめてほしいわけではなかったがこのまますぐに許しては何の学びにもならないと思った。「やめないっ!」大泣きしてNが叫ぶ。「じゃあ、どんなにフラが大好きかきちんと言葉で表現してママが感動する位あなたの本気をみせなさい!」「だまって!ママがしゃべるから言えない!」「だったら負けずにもっと大声で言えばいい。ママになんて負けるな!」くやしがってNは暴れた。とっくみあいになりお互いの腕をつかみ合いひっぱたき合った。本気だった。「やめたくない!Nはフラが大好きなんだからあー!!」鼻水をたらしながらものすごい顔してNは叫んだ。「だったら簡単にやめるなんて言った事をフラの神様にあやまりなさい。ひどい自虐の手紙を書いた事を自分にもママにもあやまりなさい。あやまることは負けだと言うけど悪いと思ったらあやまる勇気を持ちなさい。本当に強い人間というのはあやまる強さを持った人の事なのだから。」するとNはいきなり床に正座してわんわん泣いてごめんなさいをした。あやまってみたらすっきりしたらしい。でも泣きはらした赤い目ははずかしいからレッスンは今日は休むと言ったが体裁を気にしてる位ならまだダメだと私に言われサングラスをかけて行くと言った。先生の前でははずすと約束したのに結局はずせなかった帰ってきて自分のなさけなさに又泣いていた。「今日の事はこれからあなたが生きていく中でとても大事な事だから忘れないでいて。自分の弱さやかっこ悪さを知ってはじめて人は強くなれるのだから。今日はいい勉強したね。」そして私達はおいしいランチにでかけた。こんな激しく熱くガチンコ親子はそうはいないだろう…。ハハハ。


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◆キャメルンからの手紙◆第47話

【「たった六年の命だった愛梨(アイリ)ちゃんを本の中で生き続けさせてあげたい… 愛梨ちゃんブック募金のお願い」の巻】

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

いつも、読んで頂きありがとうございます。絵本作家の空羽(クウ)ファティマです。三年半前の、東北の大震災では、たくさんの尊い命が亡くなりましたが、その中の一人に、楽しみにしていた小学校の入学を直前に控えた六歳の佐藤愛梨ちゃんというかわいい女の子もいました。
愛梨ちゃんは、地震の後、ママの待つお家に向かう幼稚園バスの中で亡くなりました。津波に巻き込まれながらもバスの中で生きていた愛梨ちゃんたち五人の園児達の、「たすけてー!」という叫び声を近所の人達は聞いていましたが停電で何も見えず救助出来ぬまま、その後起きた火災に巻き込まれ亡くなってしまったのです。どんなに、不安で怖くて寒かっただろう、愛梨ちゃんは、三人のお友達と抱き合った姿で上半身だけ残った変わり果てた姿で見つかりました。「愛梨を最後にぎゅっと抱き締めてあげたかったのに、抱くと体が崩れてしまうのでできなかった…」という、そのつらい話を私にしてくださったのは、石巻市に住む愛梨ちゃんのママ、美香さんです。美香さんは「娘の死を無駄にしない為に、命の大切さと日々の尊さを伝える為に、娘の事を本にして出版して下さい」とお手紙をくださったのです。ずっと東北チャリティ活動を続けてきた私だったので、娘を持つママとして私で出来ることなら喜んでやらせて頂きたいとお受けしました。そして、「あなたをママと呼びたくて…天から舞い降りた命」という、愛梨ちゃんを描いた本を心を込めて書きました。地上には六年しかいられなかったけれど、たくさん笑い、遊び、最後の瞬間まで、「大丈夫だよ!怖くないよ!」と、一緒にいたお友達を励まし続けたという、優しく勇気ある愛梨ちゃんの本です。今まで書いてきたキャメルンシリーズの本とは違い、勢いだけでは書いてはいけない、あまりに、デリケートな内容なので死ということをどうストーリーに表現したらいいか、毎日毎日考え抜き、私の持っている、愛と母性の全てを使って、言葉を紡いでいきました。けれど実際には、言葉の力を信じつつも、〔命を語れる言葉などないし、それを語れる者もいない〕とも思っています。それでも、今出来ることとして、この本を作ろうと思っています。天国にいる人達と、大切な方を亡くした人達を想いながら描きました。そして、この本が、今生きているのがつらい方には、今ある命への感謝を、大切な人を亡くし哀しんでる方には、いつか天国で必ず再会出来るその日まで、生きていこう。と思って下さったら…と願って書きました。
心ある方、お気持ちで構いません。どうか、この本を作る資金の募金に、ご協力を頂けたらとお願い申し上げます。m(__)m
全ての収益金はパパやママを亡くした子供達へ、あしなが基金に寄付します。

 

ゆうちょ銀行 10440ー15311291
麻生(アソウ)まゆみ(友人)
質問などありましたら
fatima@camelun.comへ。


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◆キャメルンからの手紙◆第46話

【「夫婦と子供と一番大切なもの」の巻】

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

 

 

どんな夫婦でも"相手がここを変えてくれたらいいなあ"とか望む点は1つや2つは必ずあるだろう。その事を相手に長年変えて欲しいとあきらめずに言い続けている人もいるだろうし、もういくら言っても無駄だとあきらめた人もいるだろし初めから口にさえせずに耐えている人もいるだろう。「人は変わるか?」きっとそれはYesとも言えるしNoともいえるが自分の事ですら思い通りにならないのだから人を変える事は奇跡と言えるのだろうな。私自身もパートナー(夫)に何年もここをこうしてほしいと言い続けている事がある。でも彼は変わらない。それに対して私は怒ったり泣いたりすねたりしてきた。だがふと考えてみた。もし彼が私の望む事をしてくれたとしたら私は彼にもう何も要求せず満足するのだろうか?と。たぶんしばらくの間は幸せだろう。でも、たぶんきっと又、何かしら新たな要求が生まれてくる気がする。人間ってそういうものだと思う。昔"くれない族"という〜してくれないと相手に求める人の事を表現したドラマがあったが、きっと人間の望みや願いってエンドレスに続くものなのだろう。だからある地点で「まっいっか」と思って、ないものでなく相手の良い所を数えてそこに満足するしかこのメビウスの輪の様な迷路を出られる事は出来ないだろうな。もちろん、あきらめていいことと、ここだけはゆずれない、という事の区別はきちんとつけないとだけど。暴力とかあまりにもひどい事は許してはいけないから。自分を大切にしながら相手を受け入れる、って口でいうのは優しいけど難しい。それは子供に対しても同じだ。もっとこうなってほしいとつい親は思ってしまうし文句いいたくなる。でも子供に対しては元気で育ってくれていればいいやって思えるけど夫婦間の方が他人のせいか自分を理解してほしいとか理想を求めてしまう気がする。たぶんそれは夫婦はこの先も共に生きて行く間柄だけど子供は親から自立していくものだとはじめから覚悟しているからだ。親より愛せるパートナーと出会い自分の命より大切に想える我が子を育てるという未来であってほしいと私は望んでいるからだろう。ママとパパの事を誰よりも好きなのは子供時代だけでいい。そりゃあ、親子の間には切っても切れない絆はあるしそれは生涯続くだろう。だからこそ安心して親よりもっと大切に思える人と出会って愛し合ってほしいともいえるのだと思う。親という字は木の上に立って見ると書くと母が言っていたっけ。子供が大きくなったら遠くで見守る存在でいいのだ。このおなかで育ちあんな痛みの中で生まれて必死に母乳をあげてはじめの1年は生かしているだけでアップアップで…そんな娘があと0.5cmで私の足のサイズになる。ここから先なんてあっという間にちがいない。きっと私は結婚式で大泣きしてその横で彼(夫)も絶対泣いているだろうな。他の事は価値観が合わないことが時にあっても、私達が世界で1番大切にしてきたものは娘という、同じ宝ということが私が彼を一番信頼できる所だろうな。

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◆キャメルンからの手紙◆第45話

【「負けるが勝ち」の巻】

文章:空羽(くう)ファティマ 切り絵:海扉(かいと)アラジン

 

日本人は負けの美学という独特の感性を持つ珍しい民族だ。

西洋では勝つ事が全てだが日本人はワビサビの美学や生け花における引き算の美学といった足すことだけが善き事ではない、という考え方がある事に海外を旅する様になってから気づいた。

私が徹底的に気持ちの良い完敗をしたのはサハラ砂漠で現地の民と暮らした時だ。私は星も読めず(星によって方向を知る事)食材として、羊を殺す事も出来ない、まるで役に立たない自分を知った。

今迄自分が学んできた知識やバックグランドがここでは何1つ役に立たなかった。はじめの内は文明国の美しい理論をふりかざしてみたりもしたが、彼らの生きる知恵の前には、すぐにムダだとわかった。私は打ちのめされ驚き、それでも、抵抗し泣いたりした末に、ついに参りましたと言うしかなくなった。でも完璧なる負けを体験してみると、それはなんともすがすがしい心地良いものだった。もう戦わなくていい。もうがんばらなくていい。あんたが大将と言えた時のあの開放感は忘れる事が出来ない。思えばそれ迄の私の人生はずっと見えない敵と戦い続けてきたようなものだった。

母に、そして自分の弱さに。私は必死に対抗し牙をむいて吠えてきた。負けたら最後だと思ってた。負ける事は悔しいと思っていた。でもやりつくした後に体験した負けの境地にはすがすがしい風が吹いていた。

今、娘は反抗期に入り「あやまることはママに負ける事になるから絶対にあやまらないっ!」とほっぺをふくらませ意気がっている。そうではないと、と教えたが理解できないらしい。仕方ない。そうやって彼女も歯むかって牙をむき戦いつくして負けて負けて、負けまくりお手上げにならないとこの負けの気持ち良さはわからないのだろうな。そして想う。あの若かった私も本当は負けたかったのだろうなって。尊敬出来る相手に出会いたかったのだろうなって。

サハラの彼らは自分達が勝った事なんて事さえ知らず白い歯をみせて笑っていて本当の強さってこれなのだと、その、くったくのない笑顔を見て思ったっけ。何かに勝とうとか競おうとかそんなものを飛びこえて本当に自分がしたいことや、やるべき事に全力をかけている人、そういう人には誰もかなわないのだ。喜びの中に、使命の中に自分の生をかけられる人こそ強く美しい。

あれから30年近くたった私はあの時の彼らのような笑顔が出来ているかな。キャメルンシリーズという遊び心あり使命と言える本を執筆しママ業というこの世で1番幸せで1番大きな責任を持つ仕事をしながら遠くサハラの地を想う。青いターバンを巻き毎日同じタジンという料理を食べ歌い、太鼓をたたき、ラクダに乗り、沈む夕日を見送る彼らを想う。

私がラクダを主人公にしたキャメルンシリーズを描いたのもあなた達がラクダは私達の宝だと教えてくれたからだと思います。そのキャメルンがこの日本に気持ちいい風を吹かせられますように今日もペンを持つ。

 


…インシャラー、全ては神の思(おぼ)し召(め)し…。


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